ひとり言

わたしは、和歌山の田舎で、みかんをつくっています。
下津町は、和歌山県の北部、下津湾に面した、温暖な地です。
紀伊国屋文左衛門が“紀州みかんを江戸へ運んだ船出の地とされています。
段々畑でつくるみかんは、太陽の恵みと潮風を受け甘さと酸味を兼ね備えた
こくのあるものです。
これまで11年間、全畑の草を手で取る作業をしています。
除草剤の恐ろしさは、ベトナムの枯葉剤で認識しているものの、目の前の大きく
なった草を全て手で刈る作業は大変なものです。まわりの農家でも、まったく、
除草剤をかけない家は見あたりません。


苦労して作ったみかんを理解してくれる人に食べていただきたいと、
3年前、新規就農した息子が、宅配便による個人販売を始めました。

新築した家を、回りの野菜農家の農薬に悩まされて、手放された方や、
化学物質に拒否反応をおこし苦しんでいる方などと、知りあえました。
直接消費者の声が聞けることが一番うれしいことです。

“昔食べたみかんの味がする”と異口同音にいってくださるのは、やはり土に
ミミズ、モグラ、ヘビなどがいて、微生物が“おいしい味”をつくりだして
くれるのだと思います。